「1時間弱」って何分くらい?
ブログでは塾と関係のないことのみを書いています。
本当にたいしたことは書かないので 御用とお急ぎでない方、
特に、お暇で気が向いた方にお読みいただければ幸いと書く次第です。
「1時間弱」と言われて、何分くらいを想像されますでしょうか?
50分くらいでしょうか?
時間に正確な方だと55分とか、58分とかでしょうか?
私も「1時間弱」と聞けば50分とか55分を想像します。
自分ひとりがそう思うのではなく、日本全国、老若男女、
だいたいそんな感じじゃないかな、と思っていました。
最近知って驚いたのですが、「1時間弱」の意味するところが
世代によって大きく変わってきているそうです。
その変化は50か、55か、58分かというちがいではないというのです。
「1時間弱」を60分より少し短い時間とするのではなく、
「1時間弱」を60分よりも少し長い時間、
例えば1時間5分(65分)とか、1時間10分(70分)を
意味する言葉として理解し使う人々が、若い人たちを中心に増えているそうなのです。
「1時間弱」を「1時間とちょっと(弱)の時間」と解釈するのでしょう。
高齢者になればなるほど「55分派」が優勢、
若い世代になるほど「65分派」が増えているそうです。
私の聞いた話しでは10代では半数に迫る勢いとのことでした。
数は力です。ここまで「65分派」が増えてくると
もはや「誤用」とか「言葉の乱れ」などと言っていられません。
どんなに正しい言葉遣いも、真意が伝わらなければ意味がありません。
これは言葉の、現在進行形の「変質」あるいは「進化」と考えるべきでしょう。
「いやいや、『1時間弱』ってのは55分のことで、
65分には『1時間強』という言い方がちゃんとあるのだよ。しっかり日本語を勉強しましょうね。」
とおっしゃりたくなった方々もおられましょう。
おっしゃることはごもっとも。私もそうは思います。
思うだけでなく、もし国語の質問として問われればそう答えます。
しかし、日常会話では別です。
正しかろうが間違っていようが、伝わるかどうかが最優先の問題です。
言葉を使う目的が真意の伝達である以上、正しさよりも、先様のご理解が優先です。
そういう理由で、良きに悪しきに言葉は変質してきたのだろうし、
これからもそうであるにちがいありません。
本来(危険)や(不都合な状況)を意味する言葉「やばい」という言葉も、
今では(非常に素晴らしい)という意味で使うのは日常茶飯事。
それをいちいち真顔でただす野暮な人も、もはやおられますまい。
美味しいものを食べて「これやばい!」という人に、
「食中毒に気をつけてね」と応えるのは、
私の大好きな昭和のモノトーン映画の世界では当然のやりとりですが、
現在ではあまり品のよくないボケコメントにしかなりません。
こと日常会話では、正しさにこだわるあまりの誤解を招かぬように、
今後「1時間弱」は気をつけて使うようにしようと思いました。
毎度、駄文にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。
また、お暇のおりにお付き合いいただけますよう、よろしくお願いいたします。