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米粒写経

ブログでは塾と関係のないことのみを書いています。

本当にたいしたことは書かないので 御用とお急ぎでない方、

特に、お暇で気が向いた方にお読みいただければ幸いと書く次第です。

 

12月ってのは何かとバタバタして忙しいですね。

 

師も走ると書いて「師走」です。

師のごときエラい人でさえ忙しいのですから、

私ごときがバタバタするのも当然とあきらめて、

日々の些事に追い回されるに身をまかせるとしましょう。

 

そんな12月なのですが

12月ならではの楽しみもあります。

演芸好きの私にとっての年末のお楽しみ。

漫才日本一決定戦「M1グランプリ」です。

 

2001年にスタート、途中少しお休みを挟みますが今年で17回目。

私にとってはもうすっかり年末の風物詩です。

 

M1グランプリの面白さは、

まずもって、数千組を勝ち抜いたクオリティの高い漫才で大笑いすることではあります。

勿論それも楽しいのですが、

それ以上に「スター誕生」の瞬間を見るドキュメンタリーとしての面白さもあります。

 

2019年の「ミルクボーイ」

お母さんが忘れてしまった「コーンフレーク」と「最中」という漫才で優勝しました。

大会の前日までは無名の漫才師でしたが

この大会優勝を機に全国区の人気者になりました。

シンデレラボーイ誕生の瞬間でした。

 

2007年優勝のサンドウィッチマンは

大会当日まで漫才だけでは生活できず、アルバイトをしていました。

経済的にひとりひとりで部屋を借りることもできず、

コンビ二人でひとつの部屋に同居していました。

M1優勝のこの日を境に大ブレイク。

本業で寝る間もない忙しい日々が始まりました。

今や押しも押されぬ大看板。好感度タレントとしても活躍中です。

 

一夜にして無名の漫才師がスターになる瞬間が数年に一度あります。

この瞬間をオンタイムで目撃できるのがM1グランプリのひとつの醍醐味ではないでしょうか。

 

2010年の笑い飯のように、優勝有力と何年も期待され続けてやっと優勝というドラマもありますし、

2020年マヂカルラブリーのように惨敗の過去をリベンジしての優勝もあります。

スター誕生以外のドラマチックな展開も楽しみです。

 

今年ももうすぐM1グランプリです。楽しみです。

 

個人的本年の展望を申し上げさせていただきますれば、

芸風的に優勝は難しいかもしれないのですが、

「錦鯉」に同世代の星として頑張ってほしいと期待しています。

 

2001年におこなわれたM1グランプリ第1回の参加者は1600組でした。

1600でも相当な数だと思いますが、第17回の今年は何と6000組が参加しています。

6000組も漫才師がいるってことに驚きです。

M1開始以来、ここ20年で漫才師の数は数倍に増えたということでしょう。

 

M1グランプリは20年、17回の歴史を重ねるなかで、

漫才の裾野を広げるという功績を残しました。

たいした功績です。まさにエポックメイキング。

 

で、その功績は素直に楽しませてもらっているのですが、

ちょっとだけ、喉に引っかかったサカナの小骨のような、ちょっとした違和感もあります。

 

それは何かと具体的に申し上げますれば

ひとネタ4分という時間制限と優劣順位を争うという2点です。

「もうちょっとゆっくり観たいな」「どっちが面白いかを考えないで気楽に楽しみたいな」

という欲求です。

確かに数千組を勝ち抜いてきた漫才はどれも面白いです。

ひと組4分で続けてたくさん観るのも楽しいですが、ある意味疲れます。

 

M1グランプリを毎年楽しんでおいて贅沢な話しですが、

そんなことを思わないでもないわけです。

 

さて、毎度長いマクラにお付き合いいただき有り難うございます。

本日は、私と同じような若干の違和感をお感じの方に、

私的にお薦めの、まったくもってM1っぽくない漫才師をご紹介したいと思います。

 

私のお薦めする漫才師、「米粒写経」(こめつぶしゃきょう)であります。

 

「米粒写経」とは、

居島一平とサンキュータツオの二人組の漫才師です。

 

ツッコミのサンキュータツオは「広辞苑」の編集も務める国語博士。

大学で教鞭を執る傍ら漫才師をしている変わり種です。

 

ボケの居島一平も頭脳明晰にして博覧強記。

ただ、趣味に著しい偏りがあり、その偏り方が私ととてもよく似ていて

彼の話はもれなく私の笑いのツボを刺激します。

 

歴史が好きで、読書家で、大の昭和映画マニア。落語が好きで、寄席が好き。

最近お気に入りのものまねが佐分利信(さぶりしん・日本の俳優)のものまね。

令和の日本で誰を笑わせようとしているのでしょうか?

 

初めてこれを見たときは、

「ああ、佐分利信のセリフが聞き取りにくいのを面白いと思ってた人が自分以外にもいたんだ」

という驚きとともに感激して爆笑しました。

そう、誰を笑わせるって、私と私のような偏った趣味の持ち主をこそピンポイントで笑わせてくれるのです。

 

池袋演芸場(満席約100名)で舞台に立った彼らは漫才のネタとして「佐分利信クイズ」をします。

居島一平が佐分利のものまねをします。

凄く似ています。

何を言っているのかさっぱり聞き取れないところがそっくりです。

「さ、何の(映画に出演したときの)佐分利信でしょ~か」

相方サンキュータツオが考えます「難しいなあ、(市川崑監督の映画)獄門党の了然和尚かなあ?

「ちがうよ、(松本清張原作の映画)砂の器での前大蔵大臣、田所重喜だろう!」

「あ~、そっちか~」(会場爆笑)

 

広くは伝わらない笑いです。

M1グランプリの漫才とは方向性が真逆です。

狭い範囲にしか伝わりませんが、

伝わってしまったときの笑いの深さは底知れない。

 

お暇で気が向いたときに「米粒写経」で動画検索してみてください。

M1グランプリとはまたひと味違った演芸の世界が楽しめること請け合いです。

 

毎度、駄文にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

また、お暇のおりにお付き合いいただけますよう、よろしくお願いいたします。

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