すべらない話し
ブログでは塾と関係のないことのみを書いています。
本当にたいしたことは書かないので 御用とお急ぎでない方、
特に、お暇で気が向いた方にお読みいただければ幸いと書く次第です。
授業の息抜きにする話しというものがございまして、
時々によってよくウケたり、あまりウケなかったりなのですが、
本論は勉強なので、まあ気分転換になれば充分と
気楽にいろいろなお話しをさせていただいています。
そんな息抜き話も様々ありまして、中には、
これはテッパン、まずウケること請け合いというお話しもいくつかございます。
本日はそんなお話のうちからひとつ。
私のすべらない話し、
タイトルは「千円消えちゃう話し」です。
今日も今日とて、お気楽にお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
3人組が旅行へ行きましたというお話しです。
気の置けない仲間とほっと一息、
温泉宿にでも一泊旅行といったところです。
お話しを聞きやすくするために仮の名前をつけましょう。
3人組なら何でもかまいません。
ヤッくん、モッくん、フッくんでもいいですし、
トン吉、チン平、カン太でも、
ジュンで~す、長作で~す、三波春夫でございます(ペチ)、でも何でもいいのですが、
ここは国民的知名度にあやかりまして、
「のび太」と「スネ夫」と「ジャイアン」とさせていただき、
皆様おなじみドラえもんファミリーにご登場願いましょう。
加えての登場人物には、旅館の主人にドラえもん、
客室係の仲居さんには静香ちゃんということでお願いし、
以上オールスターキャストでお送りいたしましょう。
さて、本題です。
のび太、スネ夫、ジャイアンの三人はとある温泉旅館に泊まることにしました。
三人が部屋へ入ると、仲居さんの静香ちゃんやってきて言いました。
「お1人様1万円になります。3名様で3万円頂戴いたします。」
三人は財布から各々1万円札1枚を出し、計3万円、静香ちゃんに渡します。
静香ちゃんは預かった現金3万円を持って帳場へ。
帳場には、この宿の主人ドラえもんがいます。
ドラえもんは1万円札3枚、現金3万円を見て静香ちゃんに言います。
「あの部屋は1人につき1泊1万円だけど、
三人で泊まるなら、割引価格、1泊1部屋で2万5千円だよ」
「静香ちゃん、おつりの5千円をお返ししてきてね」と。
静香ちゃんが言いました。
「そうだったんですね。ではおつりを部屋にお持ちします」
優しい静香ちゃんは気を利かせてこう言いました。
「5千円札1枚よりも千円札5枚のほうが分けやすくていいですよね。
千円札5枚で5千円のおつりを持っていきます。」
ドラえもんは、
「さすが静香ちゃん、気が利くねえ」
と言って、おつりの千円札5枚を静香ちゃんに渡しました。
三人の部屋に戻った静香ちゃん
「こちらのお部屋は1人につき1泊1万円ですが、
三人様でお泊りのときは、割引価格で1泊1部屋2万5千円でした。」
「先ほど3万円お預かりしましたので、おつりの5千円お持ちしました」と。
するとスネ夫がおつりを受け取り、言います
「じゃあ、おつりの5千円をみんなで分けよう」
「まず、僕が千円、ジャイアンに千円、のび太に千円っと」
「あ、2千円残ってる。三人じゃ分けられないなあ」
ジャイアンが言います
「じゃあ、俺様がもらっておいてやる、よこせ!」
のび太が言います
「ジャ、ジャ、ジャ、ジャイアン。
ここはお世話になる仲居さんの静香ちゃんにチップ(心付け)として、
この2千円をもらってもらおうよう」
スネ夫も同意します
「そ、そ、そ、それがいいよジャイアン」
ジャイアンもあっさり同意します
「おう、そうだ。それがいい。
静香ちゃん、この2千円は心優しいオレ様からのチップだ、もらってくれ」
のび太とスネ夫は
ジャイアン一人からのチップじゃないぞ、
三人からのチップだぞと思いましたが、何も言えませんでした。
静香ちゃんは礼を言ってこの2千円を受け取り退室しようとします。
そのときです。
スネ夫の発言が物議を醸します。
「ちょっと待って。何かおかしいよ。」
「僕たちはそれぞれ1万円札1枚を出して、千円札一枚をおつりでもらったよね。」
うん。うん。と一同頷きます。
「つまり、一人9千円。9000✕3=27000、三人で2万7千円だよ。」
ジャイアンが大きな声で、
「オレ様から静香ちゃんへの2千円のチップもあるぞ。」
スネ夫が答えます
「そこなんだよジャイアン。2万7千円とチップの2千円、合わせて2万9千円なんだ。」
「僕たち最初に3万円出しているよね。でも、いつの間にか2万9千円になっちゃってるんだよ。」
「3万円出したのに2万9千円だよ。千円消えちゃってるんだ!」
なに~!と怒って指を折って計算をするジャイアン。
「本当だ。千円たりないぞ。」
「やいのび太、俺様の千円を盗ったな、返さないとぎったぎたにしちゃうぞ!」
「あっ、それとも、スネ夫おまえか?ドラえもんも怪しいぞ!」
静香ちゃんが割って入ります。
「武さんやめて。誰かが盗ったんじゃないわ。本当に千円消えてるのよ。」
「私にもどうして千円消えちゃったのかわからないわ」
以上、「千円消えちゃう話し」というお話しでした。
一瞬、「あれ?本当に千円消えてる」と思っていただけましたでしょうか?
それとも「千円が消ちゃう理由」が即座にご理解いただけましたでしょうか?
いずれの方もそれぞれに楽しんでいただける私のテッパン話、すべらない話しです。
この話の面白いところは、
そんなわけがないのに一瞬「千円が消えた」と勘違いしてしまいがちなところです。
落語「壺算」や「花見酒」の楽しさです。
でも、私が最も面白いと思うのはその後です。
この話、「千円が消えちゃう理由」に気付いてしまうと、
他の人に伝えるときに、上手く「千円が消えちゃう話し」にできなくなってしまうというところです。
「千円が消えた、何でだろう?」と思っている人は実に上手に「千円が消えちゃう話し」にできます。
でも、ひとたび「千円が消えた理由」に気付いてしまうと、
「千円は消えてなんかない」という話しは流暢にできても、
「千円が消えちゃう話し」として話すのがとても難しいというところです。
「千円が消えちゃう理由」にお気づきになられました賢明なる方々には、
是非、「千円が消えちゃった理由」をご理解いただいたうえで
「千円が消えちゃう話し」をするというハイレベルミッションに挑戦してください。
「本当だ、千円消えてるね!」と言ってもらえたらミッションコンプリートです。
毎度、駄文にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。
また、お暇のおりにお付き合いいただけますよう、よろしくお願いいたします。