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言い間違い

ブログでは塾と関係のないことのみを書いています。

本当にたいしたことは書かないので 御用とお急ぎでない方、

特に、お暇で気が向いた方にお読みいただければ幸いと書く次第です。

 

学校で、先生のことを「お母さん」あるいは「お父さん」と言い間違えてしまって恥ずかしかった。

というご経験は多くの方にあるのではないかと思います。

 

かくいう私にも覚えがあります。

言われた先生や周りの人はそれほど気にしていなくても、

言い間違えてしまった本人はとっても気恥ずかしいものですよね。

 

精神分析学の創始者フロイトによりますと、

「フロイト的失言」(Freudian slip)と申しまして、

言い間違いとは「無意識に抑圧された欲求や願望の発露である」といいます。

つまり、

言い間違いとは「心の奥底で思っていることがポロッと出てしまうこと」なのだそうです。

 

フロイトの説によれば、

先生のことを「お母さん」あるいは「お父さん」と言い間違えるのは、

先生をお母さんやお父さんのように信頼し、その信頼が無意識レベルでの錯覚となっている。

または、自分の家族と一緒ににいるようなリラックスした状態にある。

そんな無意識がポロッと出てしまったのが、

「お母さん」あるいは「お父さん」という言い間違いの理由であるということです。

 

言われてみれば、思い当たります。

 

私が桜井小学校2年生のときでした、

担任の伊藤洋子先生に向かって、

授業中に大きな声で「お母さ~ん」と呼びかけてしまいました。

生来の声の大きさが禍して、教室は爆笑の渦。先生も苦笑い。

とても恥ずかしかったのを覚えています。

 

ただただ恥ずかしい思い出ですが、

この言い間違いの背景に、私の先生に対する信頼があったことも思い出されます。

 

出来の悪い私に、とても優しく、ときに厳しくご指導くださいました。

褒めてくれるときは心から嬉しそうに満面の笑顔で、

叱ってくれたときには涙も流さんばかり本気で叱ってくれました。

大好きな先生でした。

「フロイト的失言」納得です。

 

さて、時は流れ、私が言い間違えられる側になりました。

ごくたまにですが、言い間違いをされます。

「お母さん」あるいは「お父さん」、「ママ」「パパ」もあります。

 

私は言い間違いをされると「フロイト的失言」を思い出して、

リラックスして信頼してくれているんだろうなと安心します。

 

経験的には、「お母さん」「ママ」と言い間違えられることの方が、

「お父さん」「パパ」よりも圧倒的に多いです。

 

不思議といえば不思議な話しです。

ご案内の方はご案内ではありますが、

私の見た目に「お母さん」要素はかなり希薄です。

180㎝80㎏の「ママ」はそれほど多くはいられますまい。

それでも「お母さん」と言い間違えられることが多いのは、

「フロイト的失言」のメカニズムが背景にあると考えるのが自然でありましょう。

 

さてさて、毎度長いマクラにお付き合いいただき有り難うございます。

ここからが本日の本題、「なんだかもやっとしたフロイト的失言」というお話しを。

 

先日、小学生の塾生と雑談をしていました。

彼は桜井小学校に通っています。

彼のお父さんも地元桜井小学校出身、私と同窓で同世代です。

お父さんから聞いた、昔の桜井小学校についての知識を披露してくれました。

今はなくなってしまった「わんぱく山」や「回転塔」など、懐かしい名前を久しぶりに聞きました。

 

「先生たちの頃って生徒がもっと沢山いたんでしょ?」

「そうだねえ、ちょうど今の2倍くらいかな、生徒数は。」

すごくいっぱいいたんだねと感心した、

その後の彼の一言にもやっとしました。

 

「先生たちの時代って、江戸時代っていうんでしょ?」

「あ、ちがった昭和時代だ。」

 

サラッと言い間違えられて、少しウン?となりました。

昭和と江戸時代で間違えた?と。

 

どう解釈したものでしょう?

私や彼のお父さんを、ものすごく昔の人と思っているのでしょうか?

それとも、昭和時代も江戸時代もどちらも昔ということで一括りということでしょうか?

なんだかもやっとしました。

 

俳人、中村草田男はかつて

「降る雪や 明治は遠く なりにけり」と詠みました。

雪は降っていませんが草田男に共感、

「昭和は遠く なりにけり」と思った次第です。

 

毎度、駄文にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。

また、お暇のおりにお付き合いいただけますよう、よろしくお願いいたします。

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